CDプレーヤーを修理した時に満足できる性能になっているかを検証するには基準となるCDが必要だ。
基準CDは市販されているので機会が有れば入手しておく事が望ましい。
使用目的1:ピットやトラックが高い精度で記録されたCDを基準に、サーボエラー信号を観測しながら最適な状態に調整を追い込む。
CDは1枚ごとに色々な偏差があり、より多くの範囲を許容するために最適な水準に調整する必要がある。
許容幅を最大にするために、偏差がきわめて少なく偏差幅の中心付近を探れる基準CDが有れば、それを調整目標においた調整が可能になる。
安定した再生状態まで復旧させるための調整冶具とも云えるが、許容幅が狭くてよい場合は市販の楽曲CDでも単に再生するという目的にはかなう。
使用目的2:主に楽曲など目的信号のオーディオ的スペックが満足できているかの検証を行い、品位改善の要否判定を行う。
CDの再生時にはエラー訂正ロジックが組み込まれている。
少々の不安定要素が有ってもデコード時にデータ訂正が行われ、CDの小キズ程度ならほぼ100%訂正されているので人間が音を聴くだけでは検知できない。
しかし、DA変換された後のアナログ経路にも部品劣化や故障は有り得る。
アナログ時代でも論議されてきたF特、S/N比、ワウ・フラッター、セパレーションなども一応は評価対象なので、少なくともそれらを判定するための基準は必要だ。
簡単に用意できるもの
目的1を満足させるCDは製造時に決まってしまうため市販されている機器で代替CDを作ることは出来ない。
しかし目的2を満足させる信号源は簡易版として作ることは可能で、下表のような信号を信頼できる環境でCDに焼けばいい。
そのCDから再生される信号を計測できる計測器が有ればの話だが、こうして割り切って作ったCDでも普段の修理には利用できるだろう。
備えておけば便利な信号源
使用する頻度から考えて以下の信号源をCD化しておいたらいかがだろうか。
No |
コンテンツ |
波形 |
レベル |
L or R |
エンファシス |
時間 |
使用目的など |
1 |
1KHz |
Sin |
0dB |
L&R |
OFF |
56秒 |
計測基準設定 |
2 |
20Hz |
Sin |
0dB |
L&R |
OFF |
56秒 |
レスポンス、FM性ノイズ対歪 |
3 |
100Hz |
Sin |
0dB |
L&R |
OFF |
56秒 |
レスポンス、FM性ノイズ対歪 |
4 |
10KHz |
Sin |
0dB |
L&R |
OFF |
56秒 |
レスポンス、FM性ノイズ対歪 |
5 |
20KHz |
Sin |
0dB |
L&R |
OFF |
56秒 |
レスポンス、FM性ノイズ対歪 |
6 |
無音 |
- |
- |
L&R |
OFF |
56秒 |
S/N比 |
7 |
1KHZ |
Sin |
0dB |
L |
OFF |
56秒 |
チャンネルセパレーション |
8 |
10KHz |
Sin |
0dB |
L |
OFF |
56秒 |
チャンネルセパレーション |
9 |
1KHz |
Sin |
0dB |
R |
OFF |
56秒 |
チャンネルセパレーション |
10 |
10KHz |
Sin |
0dB |
R |
OFF |
56秒 |
チャンネルセパレーション |
11 |
5KHz |
Sin |
-4.53dB |
L&R |
OFF |
56秒 |
ディエンファシス(参考信号) |
12 |
16KHz |
Sin |
-9.04dB |
L&R |
OFF |
56秒 |
ディエンファシス(参考信号) |
13 |
100Hz |
Sin |
-20dB |
L&R |
OFF |
56秒 |
レスポンス |
14 |
1KHz |
Sin |
-20dB |
L&R |
OFF |
56秒 |
レスポンス |
15 |
10KHz |
Sin |
-20dB |
L&R |
OFF |
56秒 |
レスポンス |
16 |
1Khz |
Sin |
-60dB |
L&R |
OFF |
56秒 |
ダイナミックレンジ |
見本は
YouTubeに置いてあるが、PCでは聞こえない部分も有るだろう。
注1:ディエンファシスONのコントロール信号が抜けるので、トラック11と12は出力0dBになる(ONならば上記のレベルが出力される)
注2:CD化する時のPCの帯域特性によっては20Hzや20khzにレベル誤差が出る可能性あり。