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 部品の壊れ方


無線機などに使用されている電子部品は経年変化や耐久性の個体差によっていつか故障する。
部品の壊れ方には特徴が有り(仮称:故障モードと記す)、それを知っておくと故障原因の診断を速くすることができる。やみくもに部品を交換してみるというのは原因特定を遠ざけるのみならず二次故障の元になりうるため、まず最初に回路図を参考にしながら症状の観察と各部の計測を冷静に行うことが早期復旧の原則だ。
ここでは製品に組み込まれていた部品に起こった故障で今までに経験した故障モードの事例をまとめておく。
なお、部品取り扱いミスによるものは除き、過負荷や過電圧など故障の元になった外部要因も記載しない。

凡例:断線とは完全な断線と接触不良を含む。ショートとは完全なショートと低抵抗値を含む。
    リークとは絶縁されているべき部位が回路に影響を与えるレベルの電流が流れる程度の高抵抗値を示す場合。
 部品種別  部品の備考  確率の高い故障モード  確率の低い故障モード
 大電力シリコントランジスター  主にTO3 ショート 断線
 中電力シリコントランジスター  主にTO220 ショート、 内部断線  
 小電力シリコントランジスター   主にSC51 ショート、マイグレーション 断線
 大電力FET   ショート 断線
 小電力FET   事例なし  
 電源整流用ダイオード   ショート 断線 
 スイッチングトランジスター  抵抗内蔵 断線 ショート
 小電流回路用ダイオード   ショート 断線
 ツェナーダイオード   ショート 断線・ツェナー電圧の変化
 可変容量ダイオード   ショート 断線・容量特性の変化
 検波用ダイオード   ショート・断線  
 発光ダイオード   断線  
 アナログIC   一部ピンの断線・ショート
等価回路では別のピンでも影響が出る
 
 デジタルIC  TTL含む 一部ピンの断線・ショート(論理張り付き含む)  
 CPU   一部ピンの断線(論理断線含む) 一部ピンの論理変化
 CPU周辺の拡張IC   一部ピンの断線(論理断線含む) 一部ピンの論理変化
 ソリッド抵抗   抵抗値高化・不規則変化 ショート
 カーボン抵抗   抵抗値高化 ショート
 金属皮膜抵抗   焼けた時には値が低下   
 巻き線抵抗   固定バンド接触不良 ショート
 プリント抵抗  基板に印刷 断線 ショート
 セメント抵抗   断線 ショート
 半固定抵抗   断線 ショート
 可変抵抗  回転・スライド 断線 ショート
 マイカコンデンサー   断線 ショート
 セラミックコンデンサー   リーク 断線
 スチロールコンデンサー   リーク 断線
 フィルムコンデンサー   ショート 断線
 電解コンデンサー   容量低下 ・パンク破壊・ショート 断線
 アルミ電解コンデンサー   電解液漏れ 物理的な破壊による断線は有りうる
 タンタルコンデンサー   ショート 断線
 チタコン   容量が飛び飛びに変化 ショート
 バリコン   ベアリングの電気的接触不良 ショート
 セラミックトリマー   断線 ショート
 マイカトリマー   リーク(雲母われ) 断線
 マイクロインダクター   断線 ショート
 RFC   断線 ショート
 同調用コア入りコイル   コイル付け根断線・内蔵チタコン断線 ショート
 チップ部品   ハンダテンプラ・電極断線・素子ショート  
 水晶発振子   アクティビティー低下、リーク  断線
 セラミックフィルター   周波数変化・DCリーク ショート
 メカニカルフィルター   内部保護材劣化 ショート
 クリスタルフィルター   事例なし  
 同軸コネクター   レセプタクルの受け電極広がりによる接触不良 ショート
 リレー接点   接点のカーボン付着 断線
 タクトスイッチ カーボンによる接触不良、稀に塩害によるリーク 断線
 蛍光表示管   ヒーター断線 ショート
 電源トランス   断線(内部ヒューズ切れ含む)・レアショート   
 コンバータートランス   鳴き(ピー音) ショート
 配線材   断線(被服硬化によるストレス) ショート
 部品固定接着剤   リーク(経年変化による変質) ショート

 


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