上カバーをはずすとシールドケースに囲まれたPLL部が見える。
写真では上側に写っている、穴が3個開いているシールドケースがVCOだ。
VCOの隣にPLLループ回路がありシールドケースには外装に接触させるためのアース板が付いている。
その位置の外装側の内側に何やら店の名前と日付けが書かれた紙のシールが貼ってあり、アースが接触していない状態だった。
またケースをねじ止めするとアース板の厚みの分、上からの圧力がかかるので基板そのものが押されて反っていた。
まずPLL基板をとりはずす
シールドカバーをはずしてみる
VCOのカバーは厚手の鉄板でハンダ付けされているので強力な半田吸い取り機が無いと苦労するだろう。
VCO部の拡大
封ろうのようなやわらかいもので満たされている。
3組の発信回路のうち一番右側が最上周波数バンドを受け持つ発振回路だ。
VCOの右にあるPLLループ回路の様子
VCOはユニットになっていて、PLL基板に載せて有るので裏からパターンが見えない。
修理するためにはユニットを取り外す必要がある。
VCOユニットのパターン側
目視した限りではテンプラなどは見当たらない
外部電源から8Vを供給してスペアナで観測すると、該当のバンドで発振していない。
バンド切り替えのトランジスターは、しっかりスイッチの役割をしているようだ。
発振停止ということはバリキャップ側の故障ではないので発振部の素子をあたってみる。
結局、発振コイルの足に不具合があって、コイルのコールド側のハンダをやり直した。
トリマーを回したり電源のON/OFFを繰り返しても発振が継続することをスペアナで確認する。
いったんクールダウンをしてから再度、同じ事をやって発振が停止しないことを確認する。
元どおりに組み立てて正常に受信ができることを確認する。
各バンドの中心周波数でVCが3.0V程度になるようにトリマーを調整して、しばらくエージングしておきVCに大きな変化が無いことを確認して終了。
ちなみにVCは、写真ではVCOのシールドケースのすぐ上側にR61が有るので、そこで計測する。
この製品は受信状態でもけっこう発熱するのでVCの調整は外装を閉めてエージングをした後で行った方がよい。
再組み立てをする前に、基板の反りを緩和するため他のシールドケースも基板から外して、反りを戻した位置で再ハンダをして基板を平らにした。
もちろん外装の内側に貼ってあった紙のシールも除去しておいた。また、故障のほかに改造箇所があったので全て本来の回路に戻しておいた。
パネルも分解して清掃を行ったが外装ケースにサビがあるので再塗装を実施した。
なお、パネルを分解するためにツマミをすべて外すのだが、メモリー番号選択スイッチのツマミは六角レンチではなくスターレンチが必要だった。