KENWOOD TH-79
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カテゴリー |
ハンディートランシーバー |
送信周波数 |
144MHz帯 430MHz帯 |
受信周波数 |
144MHz帯 430MHz帯 AIR 他 |
電波形式 |
FM送信 AM/FM受信 |
出力 |
最大5W (電源電圧による) |
アンテナインピーダンス |
50Ω BNC |
電源電圧 |
13.8V DC バッテリー時 6V |
消費電流 |
受信時 0.15A 送信時最大 1.5A |
サイズ(幅×高さ×奥行): |
63.5×155.5×31 mm 突起物含む |
重量 |
330 g |
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掲載している症例と作業
1、LCD表示が不調
2、バッテリーパックの修理
LCD表示が不調
LCDが表示されなかったり文字化け状態になる。
回復させるためには、LCDをいったん取り外して基板側とLCD側、そしてラバーコネクターも綺麗に清掃する。
清掃は、液漏れの基板をガサガサ拭くのとは気の使いようが違う。電極そのものを扱う訳だからホントに綺麗にする必要がある。
使用する溶剤はアルコールだと水分が残るしレジストが汚れるのでシンナーがいいが拭き方に注意が要る。ホントはトリクレンあたりが良さそうだが入手が面倒だ。
もしアルコール系しか入手できそうもない場合はせめてイソプロピルアルコールにした方がいいと思う。
このTH-79の場合は基板側の接点の表面に曇りのような変色がみられた。
また、使用されているラバーコネクターは接触する対面の一部だけに電極が露出しているタイプ。
なお、圧着力の不足も有りそうなので再発防止のため0.1mm分程度の加圧をしておいた。
←TH-79に使用されているラバーコネクター。
電極の露出範囲がせまく接触面積を稼げないため取り付け位置や接触抵抗的に不利。
このトラブルさえ無ければ、液漏れするケミコンも使っていないようだし外装もしっかりしているし機能も豊富で良い製品だ。
まず、目標のラバーコネクターの位置だが、LCDの裏側、つまりLCDと基板の間に挟まれている場所にある。
LCDを取り外すと、1.5mm角くらいの部品がどちらかに張り付いているのが見えるだろう。
まず分解であるが、外装のビスをはずして下図のように開く。外部電源コネクターの横にもビスがあるので要注意。
このとき@のフレキを破らないようにそっと外す必要がある。
@の下にコネクターがあるので茶色の部分の両端を少し上げるとフレキがすんなり抜ける。
この事はフレキコネクターの構造を知っておく必要がある。
Aは普通のコネクターなので抜いておく。
次に、基板のはめ込みをはずす。
Bの部分にマイナスドライバーを2mm程度入れるとピチッという音とともに上にはがれる。
基板は引き起こしてはいけない。ゆるめておくだけにする。
つまみを抜き上面パネルとパッキンをはずしておく。
VRの取り付けねじと基板を固定しているビス2本をはずす。
VRが付いている金属板は少し上方向に押して爪が外れやすいようにする。
LOCKつまみを外しておく。
基板は2本のビスとVR固定ねじと左右の外装によって挟まれて固定されているので下図のようにジワジワと外してゆく。
基板が取り出せたら2箇所のハンダを外す。
下図のNがハンダで固定されているので、吸い取り網か吸い取り器で取り外しておく。
LCDユニットは左右各2箇所の爪で止まっているので、それを少しづつ確認しながら外してゆく。
一気に外そうとするとLCDだけでなく基板側も壊してしまう可能性がある。
LCDユニットは下図Pのように外すことができる。
これでラバーコネクターが確認できるので、処置をしたら逆の手順で組み上げる。
組み上げる時の注意点としては、ラバーコネクターは先にLCD側に付けることくらいか。
LCD取り付け台(透明なアクリル)側にラバーコネクターが収まる位置決め溝のような物があるので、丁度そこにはまるように装着する。
そして基板との間に挟まるように、ラバーコネクターの位置がずれないように注意しながら基板に取り付ける。
この作業のポイントはラバーコネクターの接触改善なので正しく清掃されれば表示不良の症状は回復するが、長期間の圧着の影響で電極の厚み分の凸凹になっているので清掃して戻す時に全く同じ位置に戻すのが難しいためラバーコネクターを新品に交換する方が簡単だ。
注意
このLCD部分はフレキ内部に表示コントロールICが入っているので、そちらが原因の場合はラバーコネクターの処置では復旧しない。
フレキ側はデリケートな構造なので、いじればいじるほど症状が悪化する可能性が大きい。
フレキ側が悪化した場合は修理不能となるので慣れていない場合は手を付けないようお勧めする。
バッテリーパック PB-32の修理
ニッカドパックが全く充電されない。
白い粉が出ている状態にまで至っている。
使用されているセルのサイズは直径14mm、長さ28mmの2/3AAというタイプか。
ニッカドでこのサイズが手に入らなかったのでニッケル水素で置き換えることにした。
定格の充電時間は15時間となっていて、テクニカル資料によると定電流充電だと云っている。
また、取り説では15時間経ったら充電をやめろと書いてある。よって電流制御による自動停止は行っていない仕様だ。
充電回路を見ると充電時はバッテリーに直列に12Ωが入っている。
ACアダプターの仕様は13.8V/70mAしかない。バッテリーの空腹時には600mAくらい流れたがるが、定電流制御によってこのアダプターで凌いでいるようだ。
PB-32の定格は600mAhであるがニッケル水素の同サイズだと650mAhになる。充電電流に大差がないのでこれを使用することにした。
定格6Vだから、1.2V×5本=6Vで、セルが5本入っている。
腐食によって電極が切れている。
絶縁紙も変質してポロポロ取れてしまう。
セルの間にサーマルプロテクターが挟まれていたので、これを綺麗に取り外して再利用することにした。
サーマルプロテクターも腐食していたのでケースを剥がしてみた。
サーモスタットと同じで温度が上がると接点が離れる構造だ。
横から見るとその構造が解りやすい。
新たに仕入れた同サイズのニッケル水素電池(緑)
わずかにニッカドより小さく見える。
同じ形に組み上げるたところ。
サーマルプロテクターは右上の電池の左側に挟んである。
これで完成だが、エージングしてみるまではケースを固定せずに、
メンディングテープで仮止をしてしばらく使ってみることにする。
セルは充電済みのようだが、一度空になるまで消費して充電電流を確認してから完成としよう。
約半日ほど通電していたら電池がなくなってきた。送信すると表示が薄くなってきたので、これが合図かなと思う。
外部電源から13.8Vを供給して充電電流を見たら73mAだった。(推奨の65mAよりちょっと多い)
もし電池を裸で充電すれば1Cの600mAくらいは簡単に流れるはずなので、定電流充電が効いているようだ。
しかもACアダプターの容量70mAよりわずかにオーバーしている程度なのでこのままでいいことにする。
下記の推奨充電電流表によると満充電は12時間くらいか。
なお、このパックのように直列に接続している場合はセルの電圧が1Vを下回らないように、パック全体で5Vを下回らないようにしなければならない。
詳細は省くが、時々充電してやる必要がある。
参考までに購入した電池に付いてきた推奨充電電流の一覧を書いておく。
【参考】ニッケル水素電池の推奨充電電流
サイズ |
容量 |
標準充電 |
急速充電 |
単4 |
800mAh |
80mA(0.1C)×15時間 |
400mA(0.5C)×2.4時間 |
単4 |
1000mAh |
100mA(0.1C)×15時間 |
500mA(0.5C)×2.4時間 |
2/3AAA(単5) |
300mAh |
30mA(0.1C)×14時間 |
300mA(1C)×1.1時間 |
単3 |
2200mAh |
220mA(0.1C)×14時間 |
660mA(0.3C)×4時間 |
単3 |
2600mAh |
260mA(0.1C)×14時間 |
1300mA(0.5C)×2.4時間 |
1/3AA |
300mAh |
30mA(0.1C)×14時間 |
なし |
2/3AA |
650mAh |
65mA(0.1C)×14時間 |
325mA(0.5C)×2.4時間 |
調整資料