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 FRG-965でHF帯を受信する (修理や感度改善など通常記事は→こちら

カテゴリー 広帯域ラジオ
受信周波数 60MHz-905MHz →HFを追加する
電波形式 AM FM SSB
電源電圧 13.8V DC
サイズ(幅×高さ×奥行): 180×80×220 mm 突起物含む
重量 2.2Kg

この製品は最低受信周波数が60MHzなのでHF帯の受信ができない。
また感度が良くないという評判もありプリアンプの内蔵など、なにか活性化する方法はないかなと考えているうちにHF帯の受信を思いついた。
特にNeedsが生じたわけではないのだが、どうせならAM放送から受信できたらBGM代わりに点けっぱなしにするには便利になるだろうと考えた。
じゃあクリコンでも作ろうと部品を物色し始めて、表示も100MHzから始めれば直感的に周波数が読めるなと思い局発100MHzのコンバーターを検討した。
ところが100Mhzを得るために入手しやすい水晶発振器ではジッターや周波数の微調整などに懸念があり33.3334MHzあたりのXtalを探したが意外と入手できなかったのだ。

もともとSDR受信などで色々なサイト情報のお世話になっていて、そこでピッタリのコンバーターキットの存在を知ることとなった。
それは「Computer Radio RF Teck」のTT@北海道氏が提供してくださっている「HFコンバーターキット」で、資料を拝見すると良く設計された優れものらしいという事がわかった。
人気者のキットのようで在庫切れとなっていたが、このたび在庫が回復して頒布していただけたので組み立てからFRG965への組み込みまでを簡単に記録しておくことにする。


組み込みのようす


まず購入したキットの内容

基板は製品版にしてもいいくらいの完成度であり、よく検討されたレイアウトになっている。(組み立て完成基板も販売しているようだ)
部品はレファレンスナンバーとともに綺麗に並べて貼り付けられていて、組み立て用の解説書を読みながら製作する作業者の心境がよく理解されていると感じる。
各部品が小さいのでパッケージから取り出す時に飛ばしてしまわないように細心の注意をする必要がある。
今回はFRG-965に組み込むので基本キットに加えてリレーだけをオプションで購入した。


作業の準備

チップ部品を扱うときは広くて白い紙をひいて、部品が少し飛んでも見つけ易くしている。
基板が小さい場合は、組み立てる最中に回転したりアースパターンに触れながらハンダ付けをするために厚紙の台紙に貼って作業性を高めている。
それから先の鋭いピンセットと、リークのないセラミックヒーターのハンダごてを用意する。
利き腕と目の位置とコテを当てるランドの位置を工夫しながら息を凝らして組み立てることになる。


組み立て完了

全ての部品を載せ終わった。
これから動作確認をしてから組み込むことにする。


動作確認

左下のスペアナ写真はコンバーター電源OFFで出力の100MHz付近の状態。
左端に100MHzが見えるようにセンターを合わせてスパンは3MHz。

右の写真がコンバータONでの出力。
左端に見える100MHzの局発はDBMの効果があり漏れが少なく、これでいいでしょう。
局発の周波数偏差はSSG比較(ゼロビート法)で-64Hzだったので、この個体は充分な性能を出していて運がいいかも。
さらに右側には100MHz台に変換されたAM放送がチラチラと見えている。アンテナは1m程度のロッドアンテナを使用。
こうして見ると決して強力な信号に見えないが、実はこれで充分に使用できる。


FRG-965に組み込む

組み込む場所はチューナーパックの横にあるスペースに垂直に立てる。
固定にはアルミのパンチング板をL型に切りコンバーター基板をスペーサーで浮かして止め、メイン基板にあるネジに共締めして固定した。
この位置だとANT端子にも近く、IFの調整にも邪魔にならずちょうどいい。


配線完了

このコンバーターの起動とアンテナの切り替えはFRG-965のATT機能を廃止してATTスイッチとリレーを流用した。
使い方としてはHFを受信するときはATTスイッチを押すだけだ。
旧ATTリレーは5V電源のON/OFFに使用しアンテナ経路はコンバーター内のリレーで切り替えることになる。
ちなみに5V電源はPLLなどに供給している78L05を78M05に変えて余裕を持たせ、そこからリレーまで配線する。
回路の変更は右下の図のとおり、抵抗2本の除去とパターンカット2箇所になる。


受信は良好

写真はAMのFEN(810KHz)を受信中。
信号は強力ではないが、ゼネカバ受信機などでもAM帯にATTを入れてあることを考えれば9+まで振れていれば充分だ。

7MHz帯のSSBも受信してみた。さすがにFRG-965が親機なので苦しいがIFのフィルターや周波数ステップがHF用に出来ていないのだから仕方がない。
心配していた局発の周波数偏差も期待値以上の実力であり、親機がFRG-965なのでそもそも高精度を要求しても意味が無いことを含めると、これで充分と云える。
よくあるBCLラジオと比較して、PLLで制御された局発で受信できることを考えれば充分に納得できる水準だ。


そもそものFRG-965感度改善などの記事は→こちら



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