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 Kenwood TS-450S

カテゴリー HFトランシーバー
送信周波数 1.9MHz帯-28MHz帯
受信周波数 30KHz-40MHz ゼネカバ
電波形式 AM FM SSB CW FSK
出力 最大100W 
アンテナインピーダンス 50Ω
電源電圧 13.8V DC
消費電流 受信時 1A  送信時最大 20A
サイズ(幅×高さ×奥行): 280×107×340 mm 突起物含む
重量 7.5 Kg


掲載している症例と作業

1、IFのフォルター切り替えが利いていない
2、周波数表示の色が黄ばんでいる



  フィルター切り替えが利かない


フィルターの切り替えがおかしくなった。
表示は切り替わっては居るがまったく効果が出ていないため、SSBのサイドが切れなかったりCWでもFSKのような広帯域受信の音がする。

シリアル変換のIC3から調べてみた。

フィルターの切り替えに従って出力は正しく切り替わっているようだが、11PだけOFFすべきフィルターのコントロール電圧が低い。
正常ならば7V程度のはずが4Vくらいしか出ていない。
IC3の+Bは5Vで動作しているので、3ステートで信号ラインに乗っている8VがOFF時にはIC3に届いて7Vが正常値なのだろう。
では、どこで4Vまで下がっているのか液漏れ周辺のパターンを点検することにした。

関係しそうな部分の部品を一気にはずして表面のクリーニングと進んでしまった腐食が有れば、それも手当てをする。


右端の黒いコネクターもあやしいので外してみると、やはり・・・
それとコネクターCN13のセンターピンの右横に有るスルーホールが切れているのが見えるだろうか。今回の症状とは関係ないがパターンをクリーニングした時にスルーホールの穴を縁取るランドが腐食して無くなっていることが判明。これは細い銅線で裏表をつないでおいた。


クリーニングして綺麗になった。
この程度までやっておけば当分は元気に動いてくれるだろう。


さてと、問題の4Vしか無い経路はFMフィルターの切り替えだ。広帯域受信に聞こえるということはFMのフィルターが停止できていないため、狭帯域のフィルターと並列に広帯域のフィルターが動作してしまっているようだ。
各部のフィルター切り替え電圧を当たってみると、R9の出口で7V有るはずの電圧が4Vに落ちていてCF1を停止するためのダイオードSW(D3、D4)がOFFできていない。
セラフィルは絶縁されているはずなのでフィルターを外して確認してみると60KΩ程度にリークして切り替え電圧を吸い込んでいることが判明した。
もしかしたら液漏れした成分が時間をかけて封入されたセラミック部分まで浸透していたのかもしれないので、ピンの付け根とモールド部分を綺麗にしたところ120KΩくらいまで回復した。これ以上はしかたないので、リークしている出力側ラインのパターンを切って0.01μFでDCをカットすることにした。
(下図のX印に0.01μFを挿入した)


この処置で症状は回復し帯域制限も利いている。いずれ同じセラフィルが入手できれば交換するが症状の進行は無いと思うので、これで組み立てておく。
各部の部品を戻して終了。




 表示色が黄ばんでいる


周波数表示が黄ばんできた。
このシリーズだけでなく上位機種でも似た構造をしている製品があり、明るさムラになったり黄ばんだりする傾向がある。
他の製品ではコンバーターと蛍光管を除去し白LEDに換装した経験は何台か有り、本機も早めにやればよかったと今は思う。
参考のために構造だけ掲載しておく。

ディスプレイユニットを取り出した。このユニットだけ8V電源で動作している。
これが部品面側だ。 シールド部分がバックライト用のコンバーターになっている。


ユニットのパターン面側の様子。


コンバーターのシールドケースをはずしたところ。


コンバーター部分のの部品配列。 サブ基板式になっている。


コンバーターサブ基板のパターン面側。


次に液晶部を取り外したところ。 端子が多量にありスルーホールに取り付けてあるのでハンダ吸い取り器でないと取れない。
こんなに太い冷陰極管ってあったっけ?参考までにサイズは、長さ163mm 直径8mm。

リフレクターが黄色くなっていると想像していたのにリフレクターは無い。ガッカリ。
液晶部の内側を見るとマズイことに液晶裏に張ってある光拡散板が黄色っぽくなっている。 この変色は直せないし光源を白色LEDに変えても拡散板を交換しなければ復旧しない。しかたがないので可能な限り拡散板の掃除をしてみることにした。


さらに液晶部分を分解した。
拡散板は液晶の裏に粘着性のある素材で、はりついている。黄色く変色しているのが写真でも解るかな(一番上に写っている部品)。
拡散板だけをはがして別に用意したポリプロピレンに貼って掃除しやすくしてアルコールや研磨剤で磨いたが、少し改善した程度だった。


元通りに組み立てて取り付けてみた。 少しは改善したような気がする。
表示部の構造が解ったし、拡散板が手に入ったらLED化しようと思う。


予断だが・・・
このTS-450Sの基板はガラエポの両面基板なのでスルーホールが多い。
液晶の足もスルーホールなので取りはずすには電動ポンプ式のハンダ吸い取り器が必要だ。
(使ったのはgoot製)





調整資料

ページ数が多いので省略


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