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 LP-2020A+ ポップ音対策の記録


スピーカー保護リレーの動作を変えて電源ON/OFF時のポップ音を軽減する

巷では前段の5Vラインなどの+B経路をバランスよくON/OFFさせようとする改造記事を見かけるが本気で制御するのは難しいのではないか。
普通のアンプでもそうした制御を組み込んでいるアンプを見たことがなく、多くのアンプは出力部のリレーで強制的にON/OFFする方式を採用している。
なので今回のアプローチも同様に、回路側は好きなように暴れさせておいて出力リレーのON/OFFをうまく制御してやれば満足できる。

電源ONの時はリレーがONするタイミングを遅れさせるようリレー駆動のベース回路を考える。
そもそもこのアンプのスピーカー保護リレーは遅延ONするだけのものなのだから、電源をONする時は回路を充分に安定させてからリレーをONさせればよい。
一方で電源を切る時には回路が暴れる前に速くリレーが切れる必要があり、しかもリレーが切れるまでは+B系統が保持されている必要がある。

最も簡単な方法として、電源ON時のポップ音はリレーの遅延に任せて、電源OFF時のポップ音は先にリレーを切ってから電源を落とす工夫をすればよいことに収束したので新たな電源OFF回路を設ける。なおこの処置は別ケースへの組み換えと同時に行った。


【電源ON時のポップ音】

もともとの電源ON時の出力が安定する時間を計ってみたら約3.5秒だったがリレーは約3秒でONしていた。
リレーのONを遅延させるC15は220μFがマウントされていたので470μFに交換して1.5秒ほどONを遅らせて約4.5秒にした。



この処置で、電源ONする時のポップ音はリレーが入る時の僅かなカチッという音が聞こえるほどスピーカーからのノイズは気にならなくなった。
この方法は充電抵抗をそのままでケミコンの容量を増やすだけの時定数変更なのでリレーの吸引力は変わらずリレーとミュートの時差にも影響を与えない。
時定数が大きくなった分、この処置だけでは電源OFF時のポップ音が増大する。

【電源OFF時のポップ音】

次に電源OFF時の対策は最も簡単に済ませる方法として電源スイッチのDC側にPチャンネルのトランジスタを抱かせ、電源OFF時にLP2020AのQ1をONさせる経路を追加した。この対策でプッ音が気にならなくなった。(ちなみにQ1は電源電圧の過電圧保護)
この動作は、DCスイッチを切ると直後から負荷側の電圧が下がり始めるので、0.6V下がった時点で過電圧保護回路を利用してC15を瞬時に放電させ、Q4,Q5のベースをプルダウンさせてリレーを切るというもの。
LP2020Aに付いているC1の効果により+Bが0.6V降下するまでの回路の暴れはほとんど無視できるのでポップ音削減の効果が出ることになる。


この方法はLP-2020Aに付いているDCスイッチでも有効かもしれないがACアダプターから+12Vが供給されていることが前提だ。
LP-2020Aのスイッチを切らずにAC側だけを切断する場合は追加したPNPトランジスタが動作できないので全く効果が無い。
今回は別ケースへの移植と同時にAC側も同時に切る方式にしたのだが供給する+12Vは0.5秒程度は維持したいので3300μFを追加することでその目的を達している。
3300μFでは4秒程度維持しているのでもう少し小さい値でも問題ないだろう。またリレーを切るためにQ1の機能を利用したがQ2でも同じ動作をする。Q2を利用する場合はTA2020方向への影響を避けるためベースに逆流防止のダイオードを入れた方がよい。
なお、この方式はC15を瞬時にシャントするのでC15の負担が大きく、短期間で容量低下などの劣化が起こるだろう。
それまでには何らかの恒久対策方式を考えておくことにする。


結果・・・

これでリレーのON/OFFに関する変更を行ったことにより電源のON/OFF時のポップ音問題は解消された。
このLP2020Aはミュート回路もリレー回路と関係しているが、リレーの動作が速いかミュートが早いかは確認していない。
回路的には、電源ONでは先にミュートが解除され、電源OFFではリレー断の方が早そうなので合理的な回路になっている。

要するに電源のON/OFFで余計なノイズが出なくてスピーカーが保護されれば良いので、これで当初の目的を達した。



回路図

今回のオフセット調整とポップ音対策を追記した回路図を載せておく。このアンプはバージョンが多数あるので、あくまで参考程度ということで・・・
下図のバージョンの図が必要な場合はPDFを提供するのでメールフォームより連絡されたし。




残課題のC15負担軽減を考える。
下図の方法でリレーの+Bを切る方式ならC15は5.6Kで自然放電するので楽ではないだろうか。
うまく行くかどうかいつか試してみよう。





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